大仙の若葉

たのしいアフィブログ

なかなかに期待はずれだった映画「ハートブルー」

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 なんか面白い映画ねえかな、と思い見つけた、「ハートブルー」だ。あらすじもいい感じに好みだ。淀川長治も絶賛したらしい。いやがおうにも期待が高まる。べつに淀川長治が好きというわけではないが。見てみた。びっくりした。この映画を面白く感じなかった自分にびっくりした。えぇ……って思った。面白くなかった! って感想って、読んでけっしていい気持ちになりませんからね。でもこのブログ、いろいろとほめてばっかりでうさんくさいから、ここらで反感のひとつでも買いたいと思ったのだ。はじめに言っておくと、バリバリで主観の、ここがなんか嫌だった~みたいな、ぶん殴りたくなるようなペランペランなことしか言わんから、気をつけてね。

 キャスリン・ビグローとかいう、史上初の女性でアカデミー監督賞を撮ったジェームズ・キャメロンの元妻が撮った映画だ。潜入捜査官と犯人との間で芽生える奇妙な友情。めっちゃおれ好みじゃん。とはじめは思ったんだ。キアヌ・リーブスが銀行強盗の事件を、ベテラン刑事とともに追っているんだ。このベテラン刑事と仲良くなる過程が地味に好きなんだ。はじめはキアヌをひよっこ扱いなんだけど、ちょっぴり衝突して、そのまっすぐさに触発されるみたいな。ぼくはすぐにこのコンビを好きになったよ。でも忘れてはいけない。この映画の本筋は、あくまで犯人との奇妙な友情だ。サーファーが犯人かもしれないということで、潜入捜査を敢行するんだ。あらすじ的に、このへんでサーファーたちのリーダー格が出てくるんだなと思ったんだけど、違った。女だ。女にサーフィンを教わるんだ。このあたりでちょっと嫌な予感がしたんだ。でも気にしないことにしたんだ。女を経由して、リーダー格と知り合うんだ。なんやかんやあって、リーダー格が犯人とわかり、キアヌの素性も割れちゃうんだ。なんやかんやの中には、女との仲が進展する過程も含まれているんだ。女がキアヌと絡むたびに、嫌な予感は徐々に確信へと変わり、それが確固たるものとなったのは、リーダー格が、女を人質にとったぞーってなったあたりだ。勘弁してくれ。刑事として事件を追うっていう構図が、女を救うためのアレに変わるのか?。いや、まさか変わらんよな?。変わるわけないよな?。変わるんだよ。その結果、ベテラン刑事は死ぬ。主人公のしょうもないヒロイズムにまきこまれたベテラン刑事が不憫で仕方ない。結局、リーダー格が女を開放すんですね。リーダー格が立ち去っていくのを尻目に女と抱き合う主人公。勘弁してくれ。しょうもないラブストーリーですべてが台無しになるいい例だ。でも、ここでは終わらない。それから月日が経って、リーダー格がでっかい波に挑むのを主人公が見送るっていう。そんな終わり方。

 そんな感じで、ぼくがこの映画で嫌なところひとつは、女とのラブストーリーを絡めたこと。はじめからそういうのが絡んでくるとわかっていれば見なかったさ。あらためてあらすじを見てほしい。女の影が見えないだろう?。だからこの辺に関しては、この映画は悪くない。女なんて出てきませんよとばかりに、おれみたいなのをホイホイするようなあらすじを書いた人が悪い。

 で、もうひとつが、リーダー格にいまいち魅力を感じなかったていうこと。リーダー格との絡みよりも先に、ベテラン刑事とのコンビが気に入っちゃったせいかもしれんけども。「ヒート」のデ・ニーロとか、「コラテラル」のトム・クルーズみたいに、そういう生き方しかできない、みたいなのならかっこいいんですけど。リーダー格に関しては、サーフィンだけで満足できるんちゃうんけ? と。犯罪との二足のわらじを履く理由がいまいちわからんかったです。もしかしたら語られていたのかもですけど、覚えてないです。もう一度見返す気も起きません。こういった犯罪者って自分の中にルールがあるじゃないですか。九十秒ルールがそれに該当しますけど、なかば自業自得で破られちゃいますし。挙句の果てには女を人質にってのが、小物臭いです。

 というわけで、いまいちおもしろいと思えなかったです。といってもぼくが、唐突なラブストーリーが嫌いなだけで、そういうのに抵抗なければ、普通に楽しめると思います。