大仙の若葉

たのしいアフィブログ

至高のバブみ。理想の姉ゲー。「Silhouette」感想

 てめえら、やれ。今すぐやれ。Amazonでも駿河屋でも何でも良いから、いますぐ駆け込んで、このゲームを買え。「え~なんか微妙そう~(○`х´○)」とか舐めたこと吐かすすやつは首根っこひっ捕まえてボコボコにしてソフマップに放り込んでやる。そんくらいのゲームだ。至高の姉ゲーだ。

 まず本作のあらすじを軽くざっくばらんに説明すると、陰キャをこじらせた主人公が、モテちゃってモテちゃって困るんすよ~という、典型的な一切の面白みも感じさせないものだ。だが凡百のエロゲから突き抜けて、名作と言っても過言ではないきらめきを見せる魅力が、このゲームにはある。

 ヒロインは6人。4人が年上。なかなかにニッチだ。だがぶっちゃけ1人を除いてアレだ。やらんでもいい。姉だ。姉こそ真ヒロインだ。

 このゲームを始めてまず思うのは「あれ……主人公クソじゃね……?」ということ。両親が幼い頃に亡くなったトラウマから大切な人を作らないという信条を持ち合わせているも、それを免罪符にするかのように、こちらを苛立たせる言動を繰り返す様は、この主人公に耐えられん者は本作をやらんでもよろしいというライターから突きつけられた挑戦状のように思わせる。

 バレンタイン、ヒロインからチョコレートをもらう→「俺と付き合ってくれってことだなッッ!!」という童貞丸出しの思考回路に加え、そのチョコを「わりい……おめえとは付き合えねえ……」と返しに行く、陰キャの考えたかっこいい行動的なのを実行に移すイタさ。ナチュラルに友人を内心で見下す畜生っぷり。稀によく見る、なんでヒロインに惚れられるのかわからない系の主人公。

 そんな輩になぜか惚れてしまう柚月とかいうヒロイン。この「なぜか」というのが本作のミソなのだが、ネタバレになるのでそこは控える。このヒロインと主人公を中心に話は進んでいくわけだけど、進めれば進めるほど疑念が芽生える。「はて? 俺は何を見せられているんだ……?」いや、もちろんこの2人の行く末を見守れば良いわけだけど、それにしても、微妙だ。相変わらずなんでこの女がなんで主人公に惚れたのかもわからんし、淡々と話は進むし、この女と姉以外、存在価値はあるのかと思うくらい、その他ヒロイン勢は影が薄いし。なぜこんな60点~70点を行き来するような微妙なもんを作ろうと思ったのか? という疑念が生じたとき、転機が訪れる。

 なんと主人公は催眠術師だったのだ。驚いた。純愛ゲーを見せかけて、そんなチープな抜きゲーじみた設定を持ちだしたことに。政府の下で働く催眠のエキスパートらしい。ネタバレは控えるとか言ったけど言っちゃうわ。実は主人公には過去にある女と出会ってその娘が忘れられない→柚月を見つける→あれ……あのときの娘じゃね……?→制服から学校を割り出しそこに転入→告る→フラれる→腹いせに催眠かけて惚れさせる→自分にも催眠かけて記憶を消して彼女と学園生活を送る。うむ、キモい。でもなんやかんやで彼女の催眠解く。催眠解けても好きのまま。Fin……。なんとも薄ら寒いシナリオとキモい主人公だけど、そんな印象を覆す、とんでもないものを持ってきやがる。それが姉ルートだ。やばい。まじでやばい。このルートがなけりゃ、このゲームに存在価値はない。そんくらいの代物だ。主人公へのキモいという思いが同情へと変わる。

 このルートというか、本作の個別全般に言えることだけど、そんなに長くない。そんなに長くないシナリオからこれだけの感動を生み出せるんだから、もう素晴らしい。それしか言いようがない。主人公の両親が死んで、なんやかんやで義姉ができる。義姉との距離が縮まり家族になるまでが、さらっとしてるくせにすげえ良く描けてる。だからこそ、後の展開の破壊力がヤバい。とにかくやばい。語彙が貧弱すぎて、やばいしか言えないというか、言いたくない。これはもうてめえらでやれ。てめえらでやって実感しろ。

とりあえず姉ヒロインが好きな人はやるべきです。心の底から勧めます。後悔はさせません。